2025年12月14日

マウスピース矯正はサボるとどうなる? 装着時間が守れない場合のリスクと失敗例を歯科医が解説
「マウスピース矯正は目立たないし、取り外しもできるから気軽にできそう」
「多少装着時間を守れなくても、なんとなく歯は動くのでは?」
このように考えている方は、実は少なくありません。
しかし、マウスピース矯正は数ある矯正治療の中でも、患者さん自身の協力度が結果に大きく影響する治療方法です。
装着時間を守れなかった場合、治療期間が延びるだけでなく、歯並びが計画通りに整わなかったり、追加費用が発生したりすることもあります。場合によっては、マウスピース矯正自体が続けられなくなるケースもあります。
マウスピース矯正でいう「サボる」とはどういう状態か
マウスピース矯正における「サボる」とは、単に治療を中断することだけを指すわけではありません。多くの場合、本人に悪気はなく、日常生活の中で少しずつ装着時間が不足している状態を指します。
たとえば、食事のあとに装着し忘れてしまうことが頻繁にある場合や、仕事中は話しにくい気がして長時間外してしまう場合、違和感や痛みを理由に自己判断で装着時間を減らしてしまう場合などが挙げられます。また、決められた交換日数を守らず、なんとなく次のマウスピースへ進んでしまうことも、広い意味ではサボりに含まれます。
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正のように常に装置が固定されている治療とは異なり、患者さん自身が管理する時間が非常に重要です。その自由度の高さがメリットである一方、管理が甘くなると治療結果に直結してしまいます。
マウスピース矯正に必要な正しい装着時間
マウスピース矯正では、一般的に一日あたり二十時間から二十二時間以上の装着が推奨されています。これは、食事と歯みがき、フロスなどのケアの時間以外は、ほぼ常にマウスピースを装着している状態です。 一見すると長く感じるかもしれませんが、睡眠中や仕事中、外出中も装着することを考えると、実際に外していられる時間は一日二時間から四時間程度しかありません。この装着時間が確保されてはじめて、歯は計画通りに少しずつ動いていきます。 装着時間が足りない状態が続くと、マウスピースで設計された歯の動きが再現できず、治療全体にズレが生じてしまいます。装着時間をサボるとどうなる?起こりやすい5つの問題
マウスピース矯正で装着時間を守れない場合、以下のような問題が起こる可能性があります。歯が計画通りに動かない
マウスピース矯正は、ごく弱い力を持続的にかけることで歯を少しずつ動かす治療です。装着時間が足りない状態が続くと、力が途中で途切れてしまい、歯が元の位置に戻ろうとしたり、設計された動きが再現できなくなったりします。その結果、マウスピースが合わなくなることがあります。
マウスピースが入らない・浮く
装着時間を守れない状態が続くと、次のマウスピースがきつく感じたり、浮いてしっかりはまらなくなったりすることがあります。無理に装着しようとすると強い痛みが出る場合もあり、これは歯の位置が計画通りに動いていないサインのひとつです。
治療期間が大幅に延びる
装着時間が不足すると、同じマウスピースを予定より長く使用する必要が出たり、ひとつ前の段階に戻ってやり直したりすることがあります。場合によっては再スキャンや再設計が必要となり、結果として数か月から半年以上、治療期間が延びるケースも珍しくありません。
追加費用が発生することがある
医院や契約しているプランによっては、治療計画の再設計や追加のマウスピース作成に別途費用がかかる場合があります。装着時間を守れなかった結果、当初より治療費が増えてしまうというのは、実際によく見られる失敗例のひとつです。
矯正そのものが失敗に終わる可能性
装着時間を守れない状態が長期間続くと、矯正治療を中断せざるを得なくなったり、思ったほど歯並びが改善しなかったりすることがあります。その結果、マウスピース矯正を断念し、ワイヤー矯正へ切り替える判断になるケースもあります。
実際によくあるマウスピース矯正の失敗例
マウスピース矯正では、装着時間が守れないことで次のような失敗例が実際によく見られます。仕事中は外しがちだった
接客業や営業職の方の中には、話しづらいと感じて仕事中にマウスピースを外してしまうケースがあります。外したまま数時間が経過する状態が日常的に続くと、装着時間が大きく不足し、歯が計画通りに動かなくなります。その結果、マウスピースが合わなくなり、再作成が必要になったケースもあります。
食後に付け忘れてしまった
昼食後や間食のあとにマウスピースを装着し忘れ、そのまま仕事に戻ってしまうケースもよくあります。気づいたときには夕方になっており、毎日二時間から三時間程度の装着不足が積み重なった結果、治療の進行が停滞してしまったという例です。
痛みを理由に自己判断で外していた
新しいマウスピースに交換した直後の違和感や痛みを理由に、夜は外してしまったり、週末はほとんど装着しなかったりするケースもあります。このような自己判断が続くと、歯が予定通りに動かず、結果として治療計画の変更が必要になった例もあります。
サボってしまったときの正しい対処法
もし最近、装着時間が足りていないかもしれないと感じた場合は、自己判断で治療を進めないことが大切です。無理に次のマウスピースへ進んだり、痛みを我慢して押し込んだりすると、かえってトラブルが大きくなる可能性があります。 大切なのは、できるだけ早く歯科医院に相談し、装着状況を正直に伝えることです。多くの場合、早い段階であれば、装着期間を調整したり、計画を微修正することで大きな問題を防ぐことができます。 マウスピース矯正は、完璧に守れなかったからといって、すぐに失敗になる治療ではありません。ただし、放置せずに相談することが、成功への近道になります。マウスピース矯正を成功させるために大切な考え方
マウスピース矯正は、装着時間を守れないと効果が出にくい治療である一方、ルールを守れば計画通りに歯並びを整えやすい治療方法です。 一日二十時間以上の装着を意識し、決められたスケジュールを守り、困ったときはすぐに相談することが大切です。 自分にマウスピース矯正が向いているか不安な方や、装着時間を守れるか心配な方は、まずは歯科医院で相談してみてください。ライフスタイルに合わせた無理のない矯正プランを一緒に考えることで、後悔のない治療につながります。 矯正を始めるか迷っている方も、まずは当院までご相談ください。お口の状態やライフスタイルに合わせて丁寧にご説明します。
