抜髄（ばつずい）

抜髄とは、まだ神経が生きている状態で強い痛みや炎症が起きている場合に行う治療です。深いむし歯や外傷によって歯髄が炎症を起こすと、ズキズキする痛みや、じっとしていても眠れないほどの強い痛みが出ることがあります。治療では麻酔をしっかりと効かせ、痛みに配慮しながら神経を取り除きます。炎症が強く麻酔が効きにくい場合には、無理に進めず、まず痛みを軽減させる処置を優先します。早めに抜髄を行うことで感染の拡大を防ぎ、治療後のトラブルを抑えやすくなるため、歯の保存につながります。

感染根管治療（かんせんこんかんちりょう）

感染根管治療は、すでに神経が死んでしまい、歯の内部で細菌感染が進行している場合に行う治療です。むし歯を放置して急に痛みがなくなった場合、治ったのではなく神経が壊死した可能性があり、内部では細菌が増え続けています。この状態を放置すると、噛んだときの痛みや歯ぐきの腫れ、膿が出る症状、さらには顔全体が腫れるなど状態が悪化することがあります。治療では専用の器具や薬剤を使用し、感染した組織や細菌を丁寧に除去・洗浄して無菌に近い状態に整えます。成功率に大きく関わる治療のため、精密な視野や感染管理が重要となります。

再根管治療（さいこんかんちりょう）

再根管治療は、過去に根管治療を受けた歯が再び感染してしまった場合に行う治療です。根管の形が複雑で器具が届きにくかったり、被せ物と歯の間にわずかな隙間が生じたり、初回治療時に細菌が残っていたりすると、時間が経ってから再感染することがあります。この治療では、これまで詰められていた材料や土台を慎重に取り除き、再度感染源の除去と消毒を行います。初回治療より難易度が上がるため、より精密な視野と丁寧な処置が必要ですが、適切に治療することで歯を再び残せる可能性があります。

外科的歯内療法（げかてきしないりょうほう）

外科的歯内療法は、通常の根管治療では取りきれない感染部位や、器具が届かない場所に原因が残っている場合に行う外科処置です。根管が大きく曲がっている場合や、内部に膿の袋（嚢胞）ができている場合などに選択されます。代表的な処置に歯根端切除術があり、歯ぐきを小さく開き、根の先端と感染組織を直接取り除き、清潔な状態にしてから専用材料で密閉します。抜歯を避けたい場合の最終的な選択肢として、歯を残せる可能性を広げる治療です。